何が必要かもわからない、何ができるのかもわからない。とにかく手を動かし続けた。
はじめに

2025年5月に1年半の就活の末、スイスのソフトウェア開発スタートアップに就職することができました。
1年半前はプログラミングなどのITに関する知識は丸っきりありませんでした。卒業してすぐ結婚して移住したため、IT業界の仕事どころか社会人経験がありませんでした(アルバイトはしていましたが、正社員としての経験はありません)。大学院は建築専攻だったためコンピューターサイエンスの学位ももっていません。パート主婦でしたが就職したいと思いたちプログラミングの勉強をはじめ、今に至ります。
長い就活の間、色々な方の温かい励ましのお言葉、助言、助けをたくさんいただきました。ネットの体験談ブログやSNSの情報も大変助かりました。今度は私が誰かの助けになりたいと思いこの記事を書きました。もし海外で就職活動を頑張っている方の参考になればうれしいなと思っています。また、わからないことや聞きたいことがあればご連絡ください。
エンジニアを志すまで
イギリスの大学院を卒業したのち、2020年2月にスイス人の夫と結婚してスイスに移住しました。
イギリスへは自分の意思で留学しましたが、その後スイスに移住するだなんて思いもしませんでした。たまたま好きになった人がスイス人だったので、スイスに移住しました。(国際結婚についてはまた別に記事にしたいのであまり多くは語りません)
結婚する直前まで学生だった私はまずは職を得ようとします。しかし、スイスに引っ越してきたばかりで就職どころか生活もままなりません。そこでスイスのドイツ語圏に住んでいるのでまずはドイツ語の勉強を始めることにしました。タイミングが悪いことに移住した数か月後からコロナのロックダウンが始まってしまいます。ドイツ語学校もリモートで続けました。
そんな中知り合いの方から日本食レストランのバイトのお話をいただきました。ドイツ語学校も一区切りついた頃だろうと思っていたので、日本食レストランで働きはじめました。
最終的にこのバイトは3年ほど続けました。正直に言いますとこのバイトは私にとってあまり満足いくものではありませんでした。3年働いて給料は最低賃金から全く上がりませんでした。給料だけでなく、どんなに工夫して作業が速くなろうとも、新人に教える立場になってもキャリアを築くこともできず、ずっとこのまま永遠に変わらないだろうなと、ある日ふと気が付いてしまいました。8時間(休憩はありますが)立ちっぱなしの戦場のように忙しい職場でこれから何十年も働くことを想像して恐ろしく感じてしまったのです。
働き方は人それぞれいろいろな考えがあると思います。子育てや家事などがあって好きな時間や曜日を選んで働けるパートタイムのお仕事が合っている方もいるでしょう。私の場合は20代で結婚したばかり、子供もいませんし、つい最近まで学生だったので貯蓄もありません。国際結婚で異国に移住して貯蓄がないのはとても不安なことです。もちろん夫は私が何不自由なく暮らせるよう保証すると言ってくれていますが、それでも将来何が起こるかわからないものです。将来は子供も欲しいと考えていますし、収入が2つある方がいいはずです。バイトの職場で「イギリスの大学院を出たのになんでこんなところで働いているの?」と言われるのも辛かったです。日本の友達はみんな順調にキャリアを積んでいて上司の愚痴をこぼしたり、繁忙期が大変だったりするのをみてキラキラして見えたんです。
何者かになりたいと思いました。
すでにイギリスの大学院で建築の学位を持っていたので、建築系の仕事を目指すのがセオリーかと思うのですが、正直もう建築はこりごりでした。とてつもない量の課題をこなしてきた学生時代がよみがえりあれが今後ずっと続くのは想像したくありませんでした。それに私はイギリスの建築に興味があったのでスイスでとなるとまた話は変わってきます。その国の建築様式や、基準・法律も国によって異なるため一からまた勉強しなおす必要があります。結局一から勉強しなければいけないのならば全く違う分野でもいいんじゃないかと考えました。
性格・環境・将来などを考えたとき、どんな職業がいいか考えてみました。
- 給料がいい
- リモートワークが可能
- フレキシブル
- 日本でもスイスでもどこでも通用する
- 将来性のある
- キャリアが積める
- 需要があり就職しやすい
- 将来子供ができても続けられる
- 接客、電話対応がない
条件にあうのはIT産業かなとおもいました。
このときちょうど生成AIが流行って、SNSではAIが作った画像がたくさん出回っていました。
ふと、この先いろいろなものがAIに取って変わる世界がやってくるのだろうと肌で感じました。その時AIを使う側でなく制御できる側でいられたら…きっかけは夢みたいな妄想ですけれど、そこからAIの仕組みに興味をもちました。
どうせたまにバイトするだけの日々で暇でしたし、就職につながらなかったとしてもプログラミングの知識が少しでもあるのは今後なにかと役に立つのではないかと考えました。とにかく何か行動に移さなければ一生この現状維持のままなので、現状を打破するために、手を動かしてみることにしました。
物は試し、とりあえず始めてみようと「プログラミング 初心者」でググるところからスタートします。
勉強方法・スキル一覧
スキル習得の道のり
HTML・CSS
まずは基本のHTMLとCSSから始めました。はじめにfreeCodeCampという無料のコード学習プラットフォームで勉強しました。このサイトはチュートリアルに沿ってコードを書いていくと画面がどんどん出来上がっていって、どんな構文があるのかハンズオンで学んでいけるようになっています。素直にチュートリアルの通りやっていけばどんどん出来上がっていくので、自分でちゃんと作っている感覚があって、もっとやっていきたいと手が進みます。チュートリアルで指示される一つ一つは単純で簡単なものですが、結構量が多くて一つのタスクを終えるのに割と時間がかかります。簡単な作業が延々と続く感じなのでもしかしたら忍耐力がいるかもしれません。freeCodeCampには他にも色々な言語を学ぶことができます。JavaScriptやPythonも少しやりました。
コミュニティ
就活をはじめるにあたりまずは情報が必要でした。欧州で現地就職している方が何か情報を発信していないか調べていたところ欧州テック会というディスコードグループにたどり着きました。このグループはヨーロッパでテック系のお仕事をされている方やヨーロッパで就職したいと思っている方が情報交換することができる日本人のコミュニティです。
このグループでは就職関連の情報はもちろん、ヨーロッパでの生活についての質問なども飛び交うのでとってもためになります。トークをずっと遡って、いろんな情報を得ました。
欧州テック会の交流会の中で欧州に進出したい女性のコミュニティもあると教えていただき、参加しました。そこで後述のワークショップに参加しました。私と同じように勉強と就活を頑張っている方がほかにもいるんだなと思うと、私ももっと頑張ろうと思えました。
ポッドキャスト
今までポッドキャストというものを使ったことがなかったのですが、欧州テック会でホストをされていた方がポッドキャストをやっていて、情報収集の一環として聴いてみました。これがとてもおもしろかったんです!それから通勤中やジムでトレーニング中にポッドキャストを聴くのが日課となりました。
欧州テック会でホストをやっていた方というのがLondon Tech TalkのホストをされているKenさんです。現在はKazさんと一緒にホストをされています。私が聴き始めたころにちょうど元ホストのAsaiさんがスイスのジュネーブで就職されて就職に至った過程や日本からのお引越しのお話をされていたのが大変興味深かったです。London Tech Talkに登場するゲストの皆さんは本当にすごい方たちばかりで皆さんの様々なバックグラウンドや興味関心、技術習得、仕事に対する熱意や哲学、将来の展望などのお話は私に常に新しい世界を見せてくれました。1年半もの長い間勉強と就活を続けてこられたのは確実にLondon Tech Talkのおかげです。London Tech Talkに登場するような向上心ある方たちと働いてみたい!というのがモチベーションでした。
そのほかにもヨーロッパではないですがカナダで働きたいエンジニアさんたち向けに情報発信する「バンクーバーのえんじに屋」さんやAIやデータ分析に関わるトピックを話す「となりのデータ分析屋さん」を聴くのも好きでした。
Python
大きな転機になったのはPythonを学び始めたことです。前述の欧州テック会でCSや統計、SQLやPythonなどエンジニアに関する基礎の基礎を教えてくださるボランティアのワークショップが開催されることを知りました。勇気を出して参加して、本当に良かったです!ここで初めてDjangoを使ってウェブアプリを作成しました。とても基本的な機能のみのメモアプリだったのですが、自分で一つのものを作り上げることの面白さを知りました。
その後1人でメモアプリを発展させてもう少し複雑な機能のウェブアプリを作れないか色々作ってみたりしました。例えばボードゲームをするのが好きなので、自分が持っているゲームを管理できるようにしたり、ゲームの対戦結果を記録できるアプリを作りました。
ちょうどワークショップが終わるころに日本へ一時帰国する予定があったのでせっかくPythonを学んだのでPython基礎認定試験を受けてみようと計画しました。1ヶ月ほど対策本(徹底攻略Python 3 エンジニア認定[基礎試験]問題集)で勉強して合格しました。ここでちゃんと集中的にPythonの基礎を勉強してよかったなと思っています。
余談ですが、Python認定試験の合格者は公式サイトで体験談を書くとパイちゃんとソンくんのぬいぐるみがもらえます。これが欲しすぎて、一番のモチベーションだったなんて誰にも言えません…。アームレストも可愛すぎるのでいつか実践試験の方も受けたいと思っています。
Machine Learning
元々AIに興味があったし、Pythonも始めたし機械学習を勉強しようと思い始めました。具体的にはCourseraという学習プラットフォームでスタンフォード大学の教授が提供している有名な機械学習のコースを取ってみました。説明もとっても分かりやすくて大まかに色々な機械学習の方法があるのだなと基礎の基礎を学ぶことができました。
このコースを終えた後の感想としては機械学習をちゃんとマスターしようと思うともっときちんと大学に行って何年かかけてちゃんと学ばないと無理だなと思いました。興味はあるものの大学に行くとなると最低でも4年かかるので私にとっては少々長すぎるので機械学習は就職してから余裕が出てきたら長年かけて学びたいものだなと考えました。
AWS
機械学習は今は就職にすぐに直結しないと思ったのでもっと需要があるジャンルは何かと考えました。昨今クラウドサービスが伸びているのでジュニアでも就職できる可能性があるかもしれないと思い至りました。特にAWSは人気であり資格も取ることができるようで、目に見える目標があるのはモチベーションを保つ上でとても重要なのでいいなと思いました。1番基礎の資格であるAWS Certified Cloud Practitionerを取るのを目前の目標にすることとしました。Udemyという学習プラットフォームの試験対策講座と模擬試験を使って勉強しました。約1ヶ月ほどの勉強ののちに合格しました。
Udemyは頻繁にセールをしていてコースによっては80%オフなど破格になるので、よほど急ぎでないならセールを待って買うのをお勧めします。私がとったコースはAWSを全く触ったことがない人でもわかるようなコース設計になっています。実際に私も自分のアプリをデプロイするときに少しだけ触ったことがある程度で、ほとんど知識がないところからはじめました。説明が続くだけでなく、動画と一緒にAWSのコンソールを触りながら学べるので面白かったです。CLFのレベルではAWSに登場する無数のサービス名をひたすら暗記するのが主な課題です。似たようなアルファベット3文字がたくさんでてきて混乱しましたが、模試を何回か繰り返すとだんだん覚えていけます。
ポートフォリオ
SNSでたまに就活や勉強の愚痴を呟いていると声をかけてくださる方が結構いらっしゃって本当に励みになりました。同じように勉強を頑張っている方やスイスで就活に悩んでいる方など様々な方からDMをいただきました。中にはありがたいことにリファラルをいただけるという方もいて、次はその会社の募集要項に沿ってスキルを強化しようと思いました。その会社はプロダクト志向の企業なのでE-commerceのウェブサイトを作れるようになろうと思いました。UdemyでDjangoのE-commerceサイトの作り方の講座を見つけてハンズオンで作り、ポートフォリオにしました。以前からやっていたアプリ制作のおかげで基本的な機能などは復習できましたし、さらに決済システムのAPIを使ったり、クラウド上でデプロイしたり新しい技術も習得できて企業で通用するスキルが身についたと思います。
E-commerceサイトのように成果物を作ってポートフォリオにするのは自分のスキルを証明するのにもいいし、何よりも1つのアプリを自分で1から作るのはとても楽しかったので、もっとウェブアプリを作ってみようと考えました。前にボードゲームアプリを作っていましたが、メモ帳機能を拡張しただけだったのでだんだん方向性を見失って散らかったコードになってしまい放置してそのままだったので、もう一度ちゃんと1から作り直したりしました。E-commerceサイトを作った時に色々と取り入れられそうな技術があったのでやってみたいことが結構いっぱいあったんですよね。他にも日常で使える家計簿アプリや体重管理アプリなどを作成しました。ローカルでデプロイし、実際に現在も使っています。
ドイツ語
勉強と同時に良さそうなポジションを見つけては応募もずっとしていました。レジュメも新しい技術を習得するたびに改良を重ねていました。チューリッヒはドイツ語圏ですが、私のドイツ語はビジネスで使えるレベルではなかったため、英語で働ける環境に絞って応募していました。やっぱりドイツ語の求人と比べて英語のみの求人は少ないですし、応募者も多くいるため競争率が高くなります。そのためドイツ語ができれば就職率が少しは上がるかもしれないと考えました。ドイツ語はスイスに来てからすぐに始めてB2くらいのレベルまでやっていましたが、3年ほど全然語学の勉強をしていなかったのでほとんど忘れてしまっていました。就職だけでなく、今後チューリッヒで住む上でもやっぱりちゃんとドイツ語はできないといけないなと思ったので、インテンシブでドイツ語学校に通うことを決めました。
行き止まり
実は2024年10月頃に3年間続けたバイトを辞めました。職場の環境に不満がたまりすぎてしまったのと、もっと勉強に集中したいと思ったからです。就職の兆しが見えたからではありません。むしろ就活を続ければ続けるほど遠ざかっているようにさえ思えてきました。
IT業界は需要があると思っていたのですが、それはシニアレベルのエンジニアの話です。今の時代私のように高い給料・フレキシブルな環境にあこがれてIT業界に入りたいジュニアはたくさんいるようです。その競争率の中でCS学位を持っている学生であってもインターンを決めるのでさえ難しいとうわさで聞きました。未経験でCS学位もなくたった1年半の独学、しかも外国人でドイツ語もままならない私は無理なのではと頭をよぎるようになりました。エージェントにも聞いてみましたが昨今の状況でははっきり言って就職できる可能性はかなり低いと言われてしまいました。
就職の可能性が低いのは最初からうすうす分かっていたことですが、現実を目の当たりにすると落ち込むものです。プログラミングの勉強をはじめて、Pythonの問題を解いてみたり、エラーにぶち当たって数日間格闘して解消できた時の達成感、自分で一から機能を考えて設計したアプリが動いたときの高揚感、本当に本当にプログラミングが楽しいと思っていたんですよね。なんでもいいから仕事を得たいという感情からエンジニアとして仕事をしたいという気持ちに変わっていました。だからなおさら落ち込みました。
いったん勉強と就活から離れてしばらくドイツ語の勉強に専念しようとシフトチェンジしました。ドイツ語は今後もスイスで生活するうえで絶対に必要ですし、いつかは向き合わないといけないと思ってはいたんです。
もともと年齢のことも考えて、就活は2年くらいをめどに完全にあきらめて妊活に集中しようと決めていました。だらだら続けて就職もできなければ年齢で妊活もできなければ本末転倒ですので。あと半年、このままいけばドイツ語学校が終わったら私の就活は終了するのかなと思っていました。
急展開です。
就職が決まった経緯
知り合いの紹介
一言でいうと、ツテによって就職が決まりました。
夫が会社で同僚の一人に私が就活のためにプログラミングの勉強をしていることを話していたようです。その同僚のお友達がソフトウェア開発会社を経営していてエンジニアを募集しているとのことだったので、私のことを紹介してくださることになりました。急いでレジュメを更新して夫を通してその同僚に送りました。正直なところ口約束ですし、私はその同僚には会ったこともありませんし、その場の流れで言ってくれただけで本当に紹介してくれるとはあんまり期待していませんでした…。それに紹介してくださってもその会社さんが目にとめてくださるかもわかりませんし…。
しかし、そのあとすぐに電話があり、会って話がしたいと言ってくださいました。しかも電話で話した感じとっても好印象で「異国で挑戦しているあなたとぜひ話さなくてはと思った」と言われびっくりしました。彼らはまだ私のことをレジュメでしか知らないわけでそこまで好印象を持たれると思っていなかったので驚きました。夫が同僚に私のざっくりとした経緯は話したと思いますが、伝言ゲームみたいにツテのツテなのでどこまで伝わっているか定かではありませんでした。短い日程調整の電話でしたが期待がふくらみました。
インタビュー
オンラインでの面接はほかの会社で過去一回だけ経験がありましたが、現地へ赴いての面接はこれがはじめてでした。インタビューで聞かれるであろう定番の質問は前日に練習して挑みました。かなり期待値の高い面接なので念入りに準備しましたが、オフィスに向かう道中は本当にものすごく緊張していました。
インタビューではまず社長さんとテックリードさんがそれぞれ自己紹介して私も詳しい経歴とともに自己紹介しました。そこでテックリードさんが「レジュメに書いてあるポートフォリオを見させてもらった。はじめにはっきりさせておきたいがあなたの技術レベルは申し分ない」と話を切り出しました。初めてコードを評価してもらえました。今までわたしのポートフォリオを評価してもらえるどころか、見てもらうことすらなかったので、こんなにはっきり好評をいただけて素直にうれしかったです。私がいままで手探りでやってきたことは間違いじゃなかったんだと確信できた瞬間でした。PythonやJavaScriptをやっていたことと、フルスタックで一つのアプリを完成させていたことがぴったりテックリードさんの欲しかった技術者像と一致していたようです。のちにほかの社員に私を紹介するときも「彼女のポートフォリオを気に入ったから採用した」と言ってくださいました。きっとテックリードさんは私が初心者だから安心させるためにまず「技術に関しては問題ないよ」という話をしてくださったのかなと思い、優しさも感じました。
社長さんは私が常に新しいことに挑戦し続ける姿勢を高く評価してくださいました。
まずは日本語話者が全く違う言語である英語を習得していること、またドイツ語にも挑戦していること。母国でない言語で勉強し修士号を獲得し、現在は就職活動をしていること。さらに、異国に引っ越してきてなにもかも母国と異なるライフスタイルに適応していること、どれだけの苦難があったか計り知れないと言われました。
外国人が外国で生活する大変さって母国で暮らす方々には見えにくいものですよね。言語の壁だけじゃないもっと根本的な常識とかが覆ったりすることがありますよね。でもそれって外国で生活したことがある人にしかなかなか気が付けないものと理解しています。「スイスに5年も住んでいるのにまだスイス・ドイツ語が理解できないの?」と近所のスイスマダムによく言われます。私だって早くわかるようになりたいですよ!でも難しいんですよ!と毎回心の中で叫んでいます。社長さんはスイスの方ですが、異国で生活する私の苦労を想像して理解しようとしてくださいました。すごく優しい方なんだなと感じました。
それだけでなく、私が全く未知のプログラミングに挑戦していることも言及していました。もともと日本食レストランの仕事に不満があったから自分が安心して働ける職を探すためプログラミングを始めました。「職場環境や仕事内容に不満がある人はこの世にたくさんいますよね。でもそれを改善しようと実際に行動に起こす人はごくわずかだ」と社長さんは言いました。さらに初めての分野であるにもかかわらず資格もすでにいくつか取得しているし、一人でポートフォリオのアプリを完成させて、テックリーダーが満足するレベルまで自ら学習している。不満はあるかもしれないが日本食レストランでそのまま働いていることだってできるし、就職活動のことも忘れて勉強もしないで家事とパートをする選択肢もあったのに、成功するかもわからない望みに賭けて新たな分野に挑戦し、成果をあげることができる能力。まさにそのような人物を求めていたと言ってくださいました。今の時代、言われたことだけをこなせる人材はAIがやってくれるから必要とされないんですね。IT業界だと特にそうですね。自ら未知のものにチャレンジできる勇気、そして成果をあげられる能力、これがとても重要であると言われました。
このように自己紹介のあとはとにかく褒めちぎられました。一生分褒められました。1年半ほどの就活と勉強のすべてが報われた瞬間でした。就活だけでなく異国で暮らしてきた私自身も報われました。もうここで通らなくても私の就活は満を持して終了だなと思いました。それくらいこの面接で心が満たされました。これ以上最高な瞬間はもう生涯起こらないのではないでしょうか?
その後は会社の説明に入りました。会社のシステムや業務、給料の詳しい説明がありました。給料の話では希望額も聞かれました。給料よりもとにかく経験が必要でした。何かしらの会社に入り、テック企業で働いたことがあるという経歴が今後のキャリアを築くうえで一番重要だと考えていました。その後なら転職も未経験よりは可能性が広がるだろうし、給料もついてくると考えていました。このような経緯でジュニアポジションの平均よりも少ない額を提示したら少なすぎると言われました(笑)給料の交渉には修行が必要ですね…。私の希望額そのままで通らず、向こうが用意していた私が提示した額より大きい給料をいただけることになりました。いくらでも足元を見られてもおかしくなかったのに、とても優しい会社です。
契約書を後日送るのでわからないことがあればなんでもきいてください。と言われ、面接は終了しました。ひたすら褒められて採用の流れで終わった…?ほぼほぼ採用だよね?向こうはもう決定してるけどあとは私次第ってことだよね…?採用かどうかよりも彼らの評価がうれしすぎてオフィスをあとにしてしばらくは放心状態でした。すぐに夫に電話してなんか採用っぽいよと連絡しました。一緒に喜んでくれました。
契約・初日
インタビューの後日、すぐに契約書が送られてきました。いくつか契約内容に関する質問のやり取りをした後、働かせてくださいと返事をしました。準備があるからと出勤初日は一週間後になりました。つい一週間前までもう就職は無理かなとどんより落ち込んでいたんですよ…。急展開すぎます。感情がジェットコースターですよ。
- 5月6日社長さんから電話をもらう
- 5月9日インタビュー
- 5月19日初出勤
出勤初日、契約書に無事にサインをし晴れて会社員となりました。
終わりに
本当に運がよかったですね。結果的に運が良かったといえばそれまでですけれど、今まで頑張ってきたことすべてが運を引き寄せたかなと思っています。入社後に社長さんに「あなたはラッキーだったと思ってるだろうけれど、あなたが何もやってきていない人であればもちろん採用しなかった。」と言われました。ラッキーではなく私が自ら考え行動してきたことを評価したから採用したと改めて言ってくださいました。経歴や国籍、性別でジャッジしない本当に優しい人だと思いました。この会社が私の勤める初めての会社となって心から嬉しいです。
特別にスキルがあるとかではありません。まだまだ知識も浅いです。私が就活に成功した一番の要因は未知の世界に踏み込んだ勇気、そしてあきらめなかった忍耐力だと思っています。勇気をもって踏み出したからこそプログラミングという楽しい世界を知ることができましたし、素敵な人たちに出会うことができました。今となっては結果論ですが、就職できるまで手を動かし続けて本当によかったです(最後の方諦めかけてましたけど…)。あとは勉強が楽しかったことも要因の一つだと思います。さすがに嫌なものを続けるのは難しかったと思います。プログラミングは本当に自分に合っているなと思います。
未知の業界を一人で手探りで進んでいくのはとても不安でした。結果身に着けた知識が少しずつ繋がって実を結びました。過去の私のように現状になんとなく満足していない方にアドバイスできることがあるとすればとにかく何か始めてみることです。私の場合はプログラミングでしたが、なんでもいいのだと思います。何の役にも立たないかもしれないと今は思っていても、いつか何かに繋がるものなんだと思います。踏み出した先の道のりの過程一つ一つがいつか未来で意味を持つときが来るのだと思います。努力したことは誰かが見ていていつか自分に何かをもたらしてくれるのかもしれません。
いま就活でつらい局面にいらっしゃる方にとって私の言葉は何をとっても結果論だろって蹴り飛ばしたくなるかもしれませんね。しかしこの記事が少しでも励みになるといいなと思っています。そして少しでも誰かの助けになりますように。今頑張っているすべての方の努力が報われる日が訪れますように、お祈りしています。


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